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分詞構文とは、英語で文をより簡潔に、そして洗練された形で表現するための文法です。分詞(現在分詞・過去分詞)を使って、接続詞や関係詞を省略し、二つの文や節をつなげる手法です。
分詞構文の最大の特徴は、文をよりスマートに、コンパクトにすることができる点です。例えば、以下の二つの文を見てみましょう。
接続詞を使った文
When I was walking in the park, I met an old friend.
公園を歩いていたとき、古い友人に会いました。
分詞構文を使った文
Walking in the park, I met an old friend.
公園を歩いていたとき、古い友人に会いました。
分詞構文が表す意味関係は主に以下のようなものがあります:
分詞構文を使いこなすことで、英語の文章が洗練され、自然な表現になります。特にアカデミックな文章やビジネス文書では、簡潔さと正確さが求められるため、分詞構文の使用頻度が高くなります。
分詞構文は文のどこに置くかによって、ニュアンスや強調点が変わってきます。文頭、文中、文末それぞれの特徴を見ていきましょう。
文頭に置かれる分詞構文は、主節の内容に対する背景や状況設定を表すことが多いです。
文頭の分詞構文
Having finished my homework, I went out to play with my friends.
宿題を終えたので、友達と遊びに出かけました。
文頭の分詞構文は、特に時間的関係(先に起こったこと)や理由を強調したい場合に効果的です。
文中の分詞構文は、主節の内容を補足説明したり、情報を追加したりする役割を持ちます。文中では、カンマで区切られて挿入句として機能することが多いです。
文中の分詞構文
The student, studying for the exam, didn't notice the time passing.
その学生は、試験勉強をしていて、時間が過ぎるのに気づきませんでした。
文末の分詞構文は、主節の動作の結果や付帯状況を表すことが多いです。特に同時進行の動作や、主節の動作の方法を描写するのに適しています。
文末の分詞構文
She entered the room, carrying a large box.
彼女は大きな箱を持ちながら部屋に入りました。
位置による特徴を表にまとめると以下のようになります:
文中の分詞構文には主に2つの基本パターンがあります。分詞の形容詞的用法(後置修飾)と、挿入的に使われる用法です。それぞれの特徴と例文を見ていきましょう。
分詞の形容詞的用法の後置修飾は、名詞の後ろに分詞を置いて、その名詞に対する補足情報を提供します。この場合、分詞は関係代名詞節を簡略化したものとも考えられます。
(これは分詞構文ではなく、分詞です)
分詞の形容詞的用法(後置修飾)
The man sitting next to me is a famous writer.
私の隣に座っている男性は有名な作家です。
この例では、「sitting next to me」が「The man」を修飾しています。関係代名詞を使うと「The man who is sitting next to me」となります。
もう一つ例を見てみましょう:
分詞の形容詞的用法(後置修飾・過去分詞)
The book written by that author has become a bestseller.
その著者によって書かれた本はベストセラーになりました。
文中に挿入される分詞構文は、文全体に対する補足情報を提供し、通常はカンマで区切られます。
挿入型の分詞構文
The teacher, noticing the student's confusion, explained the concept again.
その教師は、生徒の混乱に気づいて、もう一度その概念を説明しました。
挿入型の分詞構文の特徴として、以下の点が挙げられます:
以下に具体例を示します:
文中の分詞構文を日本語に訳す際、直訳すると不自然になることがあります。以下に、文脈に応じた自然な訳し方のコツを紹介します。
分詞の形容詞的用法(後置修飾)は、日本語では「〜している」「〜された」のような連体修飾句として訳すのが自然です。
形容詞的用法の訳し方
The girl wearing a red dress is my sister.
赤いドレスを着ている女の子は私の妹です。
この場合、分詞句「wearing a red dress」は「赤いドレスを着ている」と訳し、「girl(女の子)」を修飾しています。
挿入型の文中分詞構文は、意味関係に応じて様々な訳し方があります。主な訳し方のパターンを見てみましょう。
時の関係
The professor, entering the classroom, began the lecture immediately.
教授は、教室に入ると、すぐに講義を始めました。
この例では、「〜すると」という訳し方が自然です。
理由
My friend, knowing the answer, raised her hand quickly.
友人は、答えを知っていたので、素早く手を挙げました。
この例では、「〜なので」という理由を表す訳し方が適切です。
付帯状況
He walked home, whistling his favorite tune.
彼はお気に入りの曲を口笛吹きながら、家に歩いて帰りました。
この例では、「〜しながら」という同時進行の状況を表す訳し方が自然です。
文中で分詞構文を使う際には、いくつかの重要な注意点があります。ここでは特に気をつけるべきポイントを解説します。
文中の分詞構文は、どの名詞を修飾しているのか曖昧になる可能性があります。明確な意味を伝えるために、以下の点に注意しましょう。
曖昧な例
I saw the man walking in the park.
(意味が曖昧:私が公園を歩いている時に男性を見た?それとも公園を歩いている男性を見た?)
明確な例1
Walking in the park, I saw the man.
公園を歩いているとき、私はその男性を見ました。
明確な例2
I saw the man who was walking in the park.
私は公園を歩いている男性を見ました。
文中の分詞構文を使う場合、分詞の意味上の主語と文の主語が一致しているかどうかに注意する必要があります。
誤った例
✘ Walking down the street, the beautiful house caught my attention.
(誤:「家」が「歩いている」という不自然な意味になる)
正しい例
Walking down the street, I noticed a beautiful house.
道を歩いていると、美しい家に気づきました。
文中の分詞構文でカンマの使い方は特に重要です。カンマの有無によって意味が大きく変わります。
文中の分詞構文があまりに長くなると、文全体の読みやすさが損なわれます。文が複雑になる場合は、分けて表現することも検討しましょう。
複雑すぎる例
The researcher, working diligently day and night on the complex problem that had puzzled scientists for decades, finally found the solution.
(長すぎる分詞構文で読みにくい)
改善例
The researcher worked diligently day and night on the complex problem that had puzzled scientists for decades. Finally, she found the solution.
研究者は、何十年もの間科学者を悩ませてきた複雑な問題に昼夜懸命に取り組みました。ついに、彼女は解決策を見つけました。
名詞を修飾する場合、分詞の形容詞的用法と関係詞節(関係代名詞・関係副詞を使った節)のどちらを使うべきか迷うことがあります。ここでは、それぞれの特徴と使い分けのポイントを解説します。
一時的な状態や動作には分詞の形容詞的用法が適しています。一方、恒常的な特性や重要な情報を強調したい場合は関係詞節が適しています。
一時的な状態(分詞の形容詞的用法)
The man standing at the bus stop is my neighbor.
バス停に立っている男性は私の隣人です。
恒常的な特性(関係詞節)
The man who lives next door is my neighbor.
隣に住んでいる男性は私の隣人です。
文の簡潔さを重視する場合は分詞の形容詞的用法、詳細な情報を伝えたい場合は関係詞節を選びます。
簡潔な表現(分詞の形容詞的用法)
The students studying for the test need quiet.
テストのために勉強している学生たちは静かさが必要です。
詳細な表現(関係詞節)
The students who are studying for the difficult test that will be given next week need quiet.
来週行われる難しいテストのために勉強している学生たちは静かさが必要です。
特定の時制や条件を明示したい場合は、関係詞節の方が適しています。
分詞の形容詞的用法(時制が不明確)
The book containing useful information is on the shelf.
役立つ情報が含まれている本は棚にあります。
関係詞節(時制が明確)
The book that contained useful information was on the shelf last week.
役立つ情報が含まれていた本は先週棚にありました。
分詞構文を適切に使いこなすことで、英語の表現力が大幅に向上します。ここでは、文中の分詞構文と分詞の形容詞的用法を中心に、実践的な活用法を紹介します。
アカデミックな文章では、簡潔さと正確さが求められます。分詞構文を使うことで、冗長な表現を避け、洗練された文章を書くことができます。
一般的な表現
Scientists conducted the experiment. They found that the results were inconsistent with previous studies.
科学者たちは実験を行いました。彼らは結果が以前の研究と一致していないことを発見しました。
分詞構文を使った表現
Scientists conducting the experiment found that the results were inconsistent with previous studies.
実験を行っていた科学者たちは、結果が以前の研究と一致していないことを発見しました。
ビジネスメールやレポートでも、分詞構文を活用することで簡潔かつプロフェッショナルな印象を与えることができます。
標準的な表現
We analyzed the market data and we discovered a new opportunity for growth.
私たちは市場データを分析し、成長のための新しい機会を発見しました。
分詞構文を使った表現
Analyzing the market data, we discovered a new opportunity for growth.
市場データを分析したところ、成長のための新しい機会を発見しました。
鈴木洋一朗 / Yoichiro Suzuki
大学では言語学(生成文法理論)を学び、学習塾や予備校で10年間英語教育に従事。その後、IT企業でマーケティング、プロダクト開発などを担当。2016年に当サイトを開設。