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分詞構文と進行形は、どちらも英語の重要な文法要素です。この二つが組み合わさると、より複雑で豊かな表現が可能になります。まずは基本から確認していきましょう。
分詞構文は、英文を簡潔にするために使われる構文です。通常の接続詞と従属節の代わりに分詞を使うことで、文をよりスマートに表現できます。
基本の分詞構文
Walking along the beach, I found a beautiful shell.
砂浜を歩いていると、美しい貝殻を見つけました。
この例文では、「Walking along the beach」が分詞構文の部分です。これは「When I was walking along the beach」という従属節を簡略化したものと考えることができます。
進行形は、動作が進行中であることを表す形です。be動詞と現在分詞(動詞+ing)を組み合わせて作ります。
基本の進行形
I am studying English.
私は英語を勉強しています。
この例文では、「am studying」が進行形です。「study」という動作が現在進行中であることを表しています。
ここからが本題です。分詞構文と進行形が合わさると、どのような形になり、どのような意味を表すのでしょうか?
通常の分詞構文は「V-ing」の形をとりますが、進行形の分詞構文では「being + 過去分詞」の形になります。これは受動態の進行形が分詞構文になったものと考えることができます。
進行形の分詞構文
Being watched by everyone, the actor felt nervous.
みんなに見られている状態で、その俳優は緊張していました。
この文を普通の節で表すと「While he was being watched by everyone, the actor felt nervous.」となります。「be + 過去分詞」の受動態が「being + 過去分詞」という分詞構文になったのです。
進行形の分詞構文は、主に「〜されている最中で」「〜されている状態で」といった意味を表します。主節の動作や状態と同時に進行している、受動的な状況を示すのに適しています。
同時進行を表す例
Being interviewed on TV, she spoke about her new book.
テレビでインタビューを受けている最中に、彼女は自分の新しい本について話しました。
背景状況を表す例
Being surrounded by his family, he felt safe and happy.
家族に囲まれている状態で、彼は安全で幸せを感じました。
進行形の分詞構文は、特に次のような場合に効果的に使われます:
分詞構文の進行形と単なる現在分詞は形が似ているため、混同されやすいです。ここではその違いを明確にしましょう。
一見すると、両者は非常に似ています:
しかし、意味や機能には明確な違いがあります:
現在分詞の例
Walking to school, I met an old friend.
学校に歩いていくとき、私は古い友人に会いました。
進行形の分詞構文の例
Being driven to school, I saw an accident.
学校に車で送られている最中に、私は事故を目撃しました。
実際の文章で両者を見分けるには、以下のポイントを確認するとよいでしょう:
見分け方の実践例1
Walking along the street, she noticed a new shop.
通りを歩いていると、彼女は新しい店に気づきました。
この文では、「Walking」は単なる現在分詞で、主語「she」は歩く動作の主体です。
見分け方の実践例2
Being watched by the security cameras, customers behaved themselves.
防犯カメラに監視されている状態で、客たちは行儀よく振る舞いました。
この文では、「Being watched」は進行形の分詞構文で、主語「customers」は監視される対象です。
実際の場面で分詞構文の進行形がどのように使われるのか、様々な例を見ていきましょう。
日常会話では、進行形の分詞構文はそれほど頻繁には使われませんが、特定の状況ではとても自然な表現になります。
日常会話での例1
Being interviewed for a job, I tried to stay calm and confident.
就職面接を受けている最中、私は落ち着いて自信を持っていられるよう努めました。
日常会話での例2
Being stuck in traffic, we decided to call and say we'd be late.
交通渋滞に巻き込まれていたので、私たちは電話をして遅れると伝えることにしました。
フォーマルな文脈では、進行形の分詞構文がより頻繁に使われます。特に論文やビジネス文書では、情報を簡潔に伝えるために効果的です。
ビジネス文書での例
Being faced with declining sales, the company decided to launch a new product line.
売上の低下に直面している状況で、その会社は新製品ラインの立ち上げを決定しました。
学術論文での例
Being exposed to sunlight, the chemical compound changed its color.
日光にさらされると、その化学化合物は色が変わりました。
分詞構文の進行形を自然に使えるようになるために、いくつかのコツと注意点を紹介します。
日本人学習者がよく犯す間違いをいくつか見ていきましょう。
間違い例1
✗ Being walk to school, I saw my teacher.
学校に歩いていくとき、私は先生に会いました。
修正例1
✓ Walking to school, I saw my teacher.
学校に歩いていくとき、私は先生に会いました。
この例では、主語「I」が歩く動作の主体なので、単なる現在分詞「Walking」を使うべきです。「Being walk」は誤りです。
間違い例2
✗ Being waiting for the bus, I read a newspaper.
バスを待っている間、私は新聞を読みました。
修正例2
✓ Waiting for the bus, I read a newspaper.
バスを待っている間、私は新聞を読みました。
この例でも、主語「I」が待つ動作の主体なので、単なる現在分詞「Waiting」を使います。「Being waiting」は二重の進行形になってしまい、誤りです。
分詞構文の進行形を自然に使いこなすためのアドバイスをいくつか紹介します。
1. 使い過ぎに注意する 分詞構文の進行形は特定の状況で効果的ですが、使い過ぎると不自然になります。特に日常会話では、シンプルな表現の方が自然なことが多いです。
不自然な使用例
Being woken up by the alarm, being dressed quickly, and being driven to school, I arrived just in time.
アラームで起こされ、素早く着替えさせられ、学校まで車で送られて、私はぎりぎり間に合いました。
自然な表現
I was woken up by the alarm, dressed quickly, and my father drove me to school, so I arrived just in time.
アラームで起こされ、素早く着替えて、父が学校まで車で送ってくれたので、ぎりぎり間に合いました。
2. 適切な場面で使う 進行形の分詞構文は、特に文章やフォーマルな場面で効果的です。状況に応じて使い分けましょう。
フォーマルな文脈での適切な使用
Being elected as the president, she implemented several new policies.
大統領に選出されたので、彼女はいくつかの新しい政策を実施しました。
3. 主節との時間関係を意識する 進行形の分詞構文は、主節の動作と同時に進行している状況を表します。時間関係が異なる場合は、完了形の分詞構文(having been + 過去分詞)などを使いましょう。
時間関係が明確な例
Having been trained as a pianist for ten years, she was able to play difficult pieces easily.
10年間ピアニストとしてトレーニングを受けていたので、彼女は難しい曲を簡単に弾くことができました。
分詞構文の進行形について、基本から応用まで詳しく見てきました。ここでポイントをまとめましょう。
分詞構文の進行形のポイント:
分詞構文の進行形は、一見難しく感じるかもしれませんが、基本的な仕組みを理解すれば効果的に使えるようになります。この文法を使いこなせるようになると、英語の表現力が格段に向上します。
最初のうちは、英語のニュース記事や小説などで分詞構文の進行形がどのように使われているか観察してみるとよいでしょう。次に、自分で簡単な例文を作ってみる練習をすることをおすすめします。少しずつ慣れていくことで、自然な英語表現の一部として使えるようになるはずです。
鈴木洋一朗 / Yoichiro Suzuki
大学では言語学(生成文法理論)を学び、学習塾や予備校で10年間英語教育に従事。その後、IT企業でマーケティング、プロダクト開発などを担当。2016年に当サイトを開設。